闇が少女を飲み込んでいく。
その近くには、少女を護らねばならなかった少年が一人。
しかし少年は、闇との戦いに破れ意識を失いかけていた。
(奪われてしまう……)
そんな悔しさと、使命を果たせなかった不甲斐ない自分に対する怒り。
それを胸の内で感じつつ、少年の意識は闇へと落ちていく……。
意識が闇へと落ちる直前。
耳に入ったのは少女の叫び声。
「弾!……」
目を覚ましたとき、少年はまだ生きている自分に驚いた。
(生きている……いや、生かされているのか……)
お前などはいつでも殺せる。
そう言われているように感じた少年は怒りに身を任せ、
身体中があげている悲鳴を無視して立ち上がる。
(早く〈適合者〉を見つけないと……)
今度こそ使命を果たすため、少年は傷だらけの身体を引きずってその場を後にした。